Files
2026-10-06 10:40:45 +09:00

60 lines
5.2 KiB
TeX

\section{考察}
\subsection{実験1}
\Cref{fig:exp1_res}によると, $V_{GS}$ = 1.82 V付近で定電流となった.
これは, このMOSFETの閾値電圧$V_{GS\text{(th)}}$の0.6 Vから2.2 Vの範囲に収まっている\supercite{nfet-ds}.
データシートの$I_{D}$ vs. $V_{DS}$グラフによると, $V_{GS}$ = 2.5 V, $V_{DS}$ = 5.0 Vでは約7.5 A流すことが出来るとあるが\supercite{nfet-ds}, \cref{fig:exp1_res}では45.64 mAしか流れていない.
これは, シャント抵抗が電流を制限してしまっているのが原因だと考えられる. オームの法則により$V_{DS} = R_{1}I_{D}$となり, $5 = 100I_{D}$なので, 最大の$I_{D}$は50 mAとなっている.
MOSFETを用いた増幅回路はゲートに直流のバイアス電圧を掛け, 交流の信号を乗せることで電流を増幅することが出来る.
その電流をドレインに接続した抵抗を用いて電圧降下を発生させる事で電圧増幅を行う.
この時, $g_m$を相互コンダクタンス, $Z_o$を出力インピーダンスとすると電圧増幅度は\cref{equ:fet-av}となる\supercite{eco-amp}.
\begin{equation}
\label{equ:fet-av}
A_v = g_m Z_o
\end{equation}
バイアス電圧とドレイン抵抗を上手に設計できれば, ある程度の利得を確保できる.
例えば, \cref{fig:exp1_res}でゲート-ソース間に約1.57 Vを掛け, そこに0.1 Vの振幅を持つ交流信号を乗せるとドレイン電流は約4.74 mA から 約40.1 mAの範囲で変化する.
データシートによると, 相互コンダクタンスは6 Sであるので, 出力インピーダンスを低くする事が出来る.
また, MOSFETは電圧制御形なのでバイアス電圧を作り出す分圧抵抗の値を大きくすることが出来る.
\subsection{実験2}
実験では階段状の電圧波形をベースに入力した. この時流れる電流はオームの法則により$I_{B} = \frac{V_{B}}{R_2}$となる.
よって, $V_{B} = 0.6, \ 1.6, \ 2.6, \ 3.6, \ 4.6 \ \text{[V]}$ではそれぞれ, $I_{B} = 6.0, \ 16, \ 26, \ 36, \ 46 \ \text{[}\mu\text{A]}$となる.
また, \cref{fig:exp2_res}からそれぞれのベース電圧での飽和電流を概算すると, $I_{D\text{(sat)}} = 0.03, \ 2.26, \ 4.82, \ 7.37, \ 9.92 \ \text{[mA]}$となった.
これらの値から電流利得を計算するとそれぞれ, $\beta = 5.00, \ 141, \ 185, \ 205, \ 216$となった. $V_{B} = 0.6 \ \text{V}$での利得が他より小さいのは素子が完全に活性していないためだと思われる. それ以外はデータシートに記載されている$70 \leq h_{FE} \leq 700$の範囲内となった\supercite{bjt-ds}.
コレクタ-ベース間電圧を増加させるとトランジスタ内のp-n接合に逆電圧を印加する際に発生する空乏層の幅が増加する.
これにより, 元々幅が狭いベースのn形・p形半導体を更に狭くし, コレクタ-エミッタ間の電流がより流れやすくなり, 電流利得が上昇する.
この現象はアーリー効果と呼ばれ, 電流利得の増加の度合いを示す指標としてアーリー電圧がある.
アーリー電圧が高ければ高いほどコレクタ電圧の増加による利得の変化が少なくなる.
アーリー電圧はあるベース電流における$I_{C}$ - $V_{CE}$特性の電流飽和領域での1次近似式の根の絶対値として求められる\supercite{fsd-3-bjt}.
\Cref{fig:exp2_res}を例に取ると, 電流飽和領域での1次近似式は\cref{equ:early}となる.
\begin{equation}
\label{equ:early}
f(x) = \frac{i_2 - i_1}{v_2 - v_1}(x - v_1) + i_1 = \frac{10.4 \ \text{mA} - 9.92 \ \text{mA}}{3.326 \ \text{V} - 0.448 \ \text{V}}(x - 0.448 \ \text{V}) + 9.92 \ \text{mA}
\end{equation}
この式の根の絶対値を求めるとアーリー電圧\cref{equ:va}が求まる.
\begin{equation}
\label{equ:va}
\begin{split}
f(x) &= 0 \\
x &= -\frac{i_1(v_2 - v_1)}{i_2 - i_1} + v_0 \\
V_{A} &= |x| \approx 59478 \ \text{[V]}
\end{split}
\end{equation}
電流利得とアーリー電圧の積をとると$1.285 \times 10^7$程度となった. データシートにはアーリー電圧に関する記載が無かったため,
この値から言えることは電流利得は測定範囲内では十分に一定だという事実のみである.
BJTを用いた増幅回路はMOSFETでの増幅回路と同様にベースに直流のバイアス電圧を印加し, 交流の信号を入力する.
しかし, MOSFETの時とは違い, BJTは電流制御形なので正しくバイアスをかけるには電流に余裕を持たせる必要があるので入力インピーダンスは相対的に低くなる.
電流増幅度は$h_{fe}$として示され, コレクタ電流$i_c$とベース電流$i_b$との関係は$i_c = h_fe i_b$と線形性を示す\supercite{eco}.
例えば, $h_{FE} = h_{fe} = 216$とし, \cref{fig:exp2_res}の特性より, 2.313 Vを中心に持ってくるようなコレクタ抵抗を適切に設計すれば, $V_{BE} = 2.6 \ \text{V}$を中心とした小さな交流信号を入力すると, 電流は216倍, 電圧は0から電源電圧まで増幅することが出来る.